おっぱいトラブル-1(乳頭痛・詰まり)

◆お手紙◆

先日、こんなお手紙を頂きました。

この方は生後2ヶ月のとき乳腺炎になりご連絡頂いた『ぴーあんどぴー』の第1号の方です。

初めてのお子さんをお持ちで心細い思いをなさっている方に「体験がお役に立てば」と、ご本人が快く了承してくださいましたのでご紹介いたします。   

高橋京巳 様

先日は、お電話をいただきまして、ありがとうございました。

左の乳房の乳腺の方は、高橋さんに予約のメールを送信した後の授乳で、すっかりなくなってしまいました。

それまで3日間も詰まっていたのに、不思議でした!

メールを送信し、翌日に来ていただけるという安心感で、体が緩んだのでしょうか。

思いおこせば、乳首の先端がずり剥けてしまい、その原因もわからず困惑していたとき、姪御さんのことを話しいただいたこと、ほんとうにありがたかったです。

乳首が痛くて仕方なかったとき、授乳中の乳首のダメージにいいといわれるものを片っ端から試したのに一向に治らず、先が見えず途方にくれていた私に、高橋さんの話は一筋の光になりました。

もう少し、頑張れば、治る!と、思えるようになりました。

高橋さんにお世話になってから、大きなトラブルもなく授乳することができています。

息子の○○○は、「おっぱい?」と聞くと、ニヤッと笑うようになりました。授乳中に、私が他の人と話したりすると

おっぱいを離し、怒った顔で私を睨むようにもなりました。

これらは、高橋さんのおっしゃった通りですね(笑)

これまで、おっぱいのトラブルのときは、高橋さんにいつでも来ていただけると思えたことが、大きな安心感になりました。

感謝しています。

頼れる人がいることが、どんなにか子育ての励みになるか、心に染みています。

まだまだ授乳は続きます。

困ったことがあったら、高橋さんに相談できると思うと心強いのです。

 

ー省略ー

 

 

◆おっぱいのしこり◆

「おっぱいにしこりが出来て痛みがあるので見て欲しい」という連絡があり、昨日と今日、2回乳房の手当てしてきました。

幸いすぐに対処したせいか、完全にほぐれて分泌も良好になり一安心。

14日ほど前に同じ様な連絡があり手当てをした方は、私が訪問する4日ほど前からなのでなかなかほぐれませんでした。

その時、できる限りの事をして「多分10日くらい掛かるかも・・・」と心残りでしたが、そうお話して帰って来ました。

ずっと気に掛かっていましたが「まだ少し残っているけど、ほとんどほぐれました」と明るい声で、今日連絡が入ったのでほっとしました。

 

◆乳房トラブル予防◆

母乳育児が確立しても、その後に乳腺炎を起こすことが少なくありません。

経験上やはり、乳首の浅いくわえ方が原因になっているように思います。

正しい吸い付かせ方(咥えさせかた)は、とにかく「大きく口を開けるのを待ってから、自分から咥えてもらう」と深く乳首を含むことができます。ただし、生後間もない時はまだ自分から乳首に吸い着くことができない赤ちゃんもいます。そんな時も慌てず「あ~んして」といいながら、大きく口をあけるのを待って入れてあげてください。

そうして深くくわえると、奥の方から湧いてくるおっぱいをしっかり吸えるようになり、乳腺が詰りにくくなります。

 

◆正しいくわえかた◆

赤ちゃんがママの乳首を深く乳輪部までしっかり咥えると、赤ちゃんの口が朝顔のように開きます。

また、ママの乳房と(胸板から乳首にかけた中心線)と赤ちゃんの頬の中心線が横1直線状にあるのが正しい吸い付き方をしている証拠です。

このように吸い付かせるときのコツは、いくつか条件がありますが、その中でも大切な要素は、なんと言っても大きく口を開けるまで待ってあげることです。

おっぱいが欲しいというサイン(身体をもぞもぞと動かす、手を口や顔に持ってくる、おっぱいを吸うように口を動かす、舌を出す、クーとかハーいうようなやわらかい声を出すなど)がでたら、泣くまで待たないで「あーんして」と言いながら試してみてください。

泣いてからではあせって大きく口を開けないまま吸い付いてしまいます。それが癖になって浅い飲み方が固定化してママの乳首が痛んだり、傷が出来たり、乳腺が詰ったりと言うトラブルの元になることが多いのです。

 

◆上手!!まだ生後11日目です。◆

オッパイの6時方向が詰ってしまったため、立て抱きで飲んでもらいました。本当に上手に飲んでくれるので、詰っていた乳腺も開通しました。

たて抱きは、このように吸い出してもらうときだけにします。

まだ首の座っていないお子さんには、首や肩に負担がかかるので、状態がよくなったら普通の横抱きにしましょう。

授乳中、手足の力が抜けてダランとしている時は赤ちゃんが安心してリラックスしている証拠です。

おっぱいの出がよくない、美味しくないなどのときは、手足をばたつかせたり、くわえたまま乳首をひっぱたり、唸ったり、咥えてもすぐに離して泣く等、とにかく落ち着いて飲みません。

そのような時は、赤ちゃんの出しているサインは、何かな~と考えてあげて下さい。

 

◆ママからのSOS◆

最近、何故か乳腺炎になる方が多いのですが、こんなメールをもらいました。

すぐに返信したのですが、同じように悩んでいる方もいらっしゃると思い、その一部をご紹介します。

『しばらくよい感じで授乳していたのですが、ここ2~3日おっぱいを嫌がるようになりました。

今日は2回5分しか飲まず、今は左をあげようとしたら、すぐにギャンギャン泣いてしまいました。

手で絞ると出るのですが、美味しくないのかもしれません。私ができることは乳腺を通しておく位です。

授乳が幸せに感じず苦痛です。

なんでこんなに拒否されるのか、悲しいです。どうしたら穏やかに授乳でき母乳育児を続けていけるのでしょうか?

母乳育児、くじけそうです!!』

23時近くでしたが、ママのやるせない気持ちが伝わってきませんか?

 

◆そんな時には(私からの返信)◆

『それは辛いですね!

乳腺がつまってきていてオッパイの出が少ないか、美味しくないかのどちらかを敏感に感じているのかも。

自分を責めないで!

ママを拒否している訳ではないのです。

上記の理由をママに伝えるのに、その方法は赤ちゃんによってサインの出し方が違います。

①乳首をくわえたまま頭をのけぞらせたり

②ウーウー唸りながら飲んだり

③または飲みながらママの胸を叩いたり

④吸い着いてもすぐ離してギャンギャン泣いたり

⑤:①②③と同時に手足をバタバタさせたり身をよじったり

など、とにかく以上のように落ち着いて飲まないのはみな同じです。

お子さんはたまたま④の乳首を離して泣くタイプなのです。

ーーー中略ーーー

(取りあえずの手当ての方法を書きました)

一時期トラブルのあった方も、その後の母乳育児を楽しんでいますから、くじけないで!!』

翌日訪問してオッパイをみたところ両乳房全体にしこりが広がっていました。

もちろん手当し、もう少しで改善します。

 

◆おっぱいが痛い原因◆

最近、赤ちゃん訪問していて気づいたことは、「おっぱいが痛くて直接吸わせるのが苦痛で・・・」とおっしゃる方が多いと言うことです。

なぜ痛いのでしょう?

理由はいくつか有りますが、共通しているのは「乳首の含ませ方が浅い」ということです。

赤ちゃんが離したとき乳首がおせんべい型のようにつぶれていたり、乳首に筋がついていたりしたら、それは含ませかたが浅いからで、赤ちゃんが大きく口を開けたときに深く含ませると解消します。

とは言って「それが出来れば誰も苦労はしない」ので、もし、それでお困りの方は出産された病院の母乳外来や、近くの助産師にご相談してみてください。

もちろん、私でも結構です。ご連絡ください。

 

◆乳管のつまり◆

乳管が詰ってしまったママからのSOSで緊急訪問してきました。

某保健センターからの紹介でした。

生後40日目の女の子のママです。

「昨日、実家から帰ってきたばかり。乳腺炎の一歩手前の状態です。

右のおっぱいの半分が(12時から6時まで)、かなりの広範囲がごりごり、がちがちに硬くなっていました」

でも約2時間かけて、赤ちゃんとわたしの共同作業で治りました!。

<私のマッサージ後、赤ちゃんに吸ってもらう>を数回繰り返したら、乳管が開通しておっぱいが柔らかくなりました。

しかし、赤ちゃんはご多分に漏れず、飲みながら身体をもじもじさせたり、乳首をひっぱったり、文句を言いながら、手足をばたばたさせたりなど、美味しくない時のサインのオンパレードで、そうやって自分の意志を伝えてきました。

赤ちゃんの落ち着きの無い体の動きは偶然ではないのですよ(笑)。

何もわかっていないと思っていたら大間違い、恐るべし赤ちゃんですよ。

・・・それでも飲むのを止めずに吸ってくれたので大助かり。

 

◆おっぱいトラブル◆

おっぱいトラブルのママからのSOSです。

左のおっぱいの詰りです。

おっぱいは一度トラブルを起こすと、よく出るようになるまでに(程度によりますが)2~3週間かかります。

おっぱいは生きていますから、一部分が具合悪いだけでも、おっぱい全体が働かなくなってしまいます。

こうなるとマッサージをしていても、うんともすんとも反応しなくなって乳汁が一滴も出なくなってしまいます。

何とか出るようにしても、ダメージをうけて、病み上がり状態のおっぱいはすぐに元通りにはなりません。

数週間かけて徐々に回復していくのがよくわかります。

そんな時、途中で少し良くなったと気を抜くと繰り返しますので、助産師が「大丈夫」というまではマッサージを受けるか、あるいはご自身でなさるかして、よく出るようになるまではしっかり管理することをお勧めします。

特に繰り返す方はマッサージの間隔は1~2日置きに数回続けて受け、更にご自身でも毎日チェックするといいですね。

 

◆乳頭の痛み◆

「高橋さんの言った通り授乳の回数は増えました!

吸う時間も増えました。

教えて頂いた抱き方でやってるので乳首のトラブルは無くなりました」

生後14日目のママから上記のメールが届きました。

今月、「初めに乳首が痛い、赤ちゃんの吸い付き方がよくない」との依頼で行きました。

原因は二つ。

一つはもともとの乳首がやや短いこと、二つ目はママの大きなおっぱいの張りすぎで、短い乳首が引っ張られて更に短くなってしまったことでした。

そのため赤ちゃんは滑って、しっかり乳首を捉えることが出来なかったのです。

やっと吸い付いたときは離すまいとして先の方だけを吸っていたので、水泡が何回もでき、かさぶたになりを繰り返していたのが乳頭痛の原因でした。

赤くただれて痛々しい状態でした。

でも、マッサージしておっぱい全体と乳首周りを柔らかくし、抱き方、含ませ方などを説明し、実際の授乳の様子を見たら、赤ちゃんは上手に吸うので「お互い慣れれば大丈夫」といって帰って来ました。

上記はその4日後のメールです。

因みに乳頭痛にはいろいろな手当ての方法があります。

今のところ私はカネソンのピアバーユをお勧めしています。

 

◆授乳時の口もと(朝顔口又はドナルドダック口)◆

浅飲みしていると飲んでるうちにますます乳首の咥え方が浅くなっていくことがあります。

そうすると乳首が痛くなったり、水泡が出来たり、切れて出血したり、トラブルの原因になるからです。

おまけに乳房の奥のほうから充分乳汁を飲み取ることが出来ないため、飲み残しがおっぱいのつまりの原因になったりします。

でも大丈夫!!

おちょぼ口だったり、多少の浅い飲み方でも、咥えさせたあとで「唇をめくったり、何度も咥えなおさせたり」しなくても下記のようにしてみてください。

飲んでるうちに深く咥えられるようになります。

「赤ちゃんの足と腰をご自分の身体に巻きつけるようにする」と、あごが無理なくオッパイにつき、鼻が乳房から離れるようになります。

そうすると飲んでいるうちに、浅い飲み方が解消され上手におっぱいを奥の方から飲みとることができます。

おっぱいも良く出るようになり、何より乳首の痛みや傷の予防になりますので是非お試し下さい。

 

◆詰まってしまったオッパイ◆

産後2ヶ月の方のオッパイですが、「オッパイがつまってしまいました。

数日前にも同じようなことがありました。

その時は赤ちゃんに飲んでもらいながら自分でマッサージして治したけれど、今回はどうにもならない」と電話がありました。

ごりごりとした約8cm四方のしこりが触れます。

マッサージしながら詰まった所を刺激していたら、突然1本吹き上がりました。

まるで風船が萎むかのように、あっという間にしこりが取れて、オッパイがフワフワになりました。

この方で3人目でしたが、最初の方は30cm以上も吹き上がり一瞬何が起きたのか、経験がなかった私は、にわかには理解出来ませんでした。

一度噴き出すと乳房の圧が抜けるまで大抵1分以上、出続けます。

しこりが取れないときと、このようにあっという間にとれるときの乳房の違いは、おおよそ見た目で区別はつきますが、しこりのどこが違うのかはまだ謎です。

 

◆重症の乳首の傷◆

先月から、重症の乳頭亀裂(乳首が切れて痛みがある)を手当てしています。

これからの方の参考にと快諾してくれたので写真を撮らせてもらいました。

しかし、あまりにもひどく、痛々しい状態で(浮腫みと赤くただれ)とてもこのブログには載せられません。

私がお会いするまで、「赤ちゃんに飲ませながら治す」という方法をとっていたために、ママは苦痛に耐えながら授乳していたようです。

あまりにもひどい状態なので、おっぱいの手当てを優先することにして、授乳をお休みしながら一進一退をくり返し、ようやく回復にこぎつけました。

原因は「赤ちゃんに乳首を吸い付かせるときのタイミングや母児のポジショニングが適切な位置ではなかった」から、でした。

そのため赤ちゃんが乳首を深く咥えることできず、浅い飲み方で離すまいとして、必要以上に強い力でママの乳首をしごくため、擦れて傷になってしまいました。

そこに雑菌がついて炎症を起こし激痛と戦っていたのです。

対策はとにかく

①傷を早く治すこと

②正しい咥えさせ方ができること (これができない限り乳首の傷はまた繰り返しますから)

そこで事前に「一足早く、正しい咥えさせ方を練習して習得した方にお願いして、ムービーを取らせてもらい」まず、それを見て頂きました。

ばっちりでした。

すぐ、ご理解できたようです。

その上でご自身のムービーを撮りましたら「すごい!ベテランのひとみたい!」・・・自信ができたようです。

「初めて痛くない授乳に感激しました!」とありました。

10日前「もう辞めたい!!」と涙声で電話してきたときのことがうそのようです。

 

◆浅飲みで乳首が痛い◆

今回は「浅い飲み方で乳首が痛い。どうしていいか解らない。抱き方やくわえさせ方を教えて欲しい」と言う依頼で行きました。

1ヶ月ではまだオッパイが充分ほぐれていない方もいます。

この赤ちゃんのママもまだ半分位しかほぐれていないばかりか乳首も浮腫んでいて、大きく硬いのです。

赤ちゃんにとってはその硬い乳首は舌に馴染みにくく呑みにくいです。

その為、乳首の先を吸うしかないのでその部分に負担が掛かって乳首の亀裂が起こってしまいました。

今回は抱き方やくわえさせるタイミングなどを資料を使って説明したあと、参考になる先輩ママの動画を見ていただき、その後実際をイメージしてもらいました。

まず乳首を軟らかくしてイメージしたように抱き方や含ませ方ができ授乳開始。

何回も練習したので何となくわかったようでした。

上手に深くくわえてもらったときは、痛みも感じないため、その違いが分かってもらえたようです。

けれども真面目なママにありがちですが、アバウトにするのが出来るかな?と思ったので困ったらいつでも連絡して

よいこと、但し1時間半も掛かる私より、今後のオッパイトラブルに備えて近場の助産師探しを伝授して帰ってきました。

こういうママには3日間位産褥入院できるところがあるといいなぁと思います。

しかし、今までのように毎回ではなく日中余裕のあるときは母乳を優先しミルクは数回に1回にするようにやっていくとやがて母乳だけで足りるようになっていくことを説明。

授乳後にオッパイをほぐしましたが、まだ全部ほぐれません。

こんな場合頻回授乳するのがベストですが、核家族のママには休む時間を作りにくく精神的に辛くなり難しそうなので、ミルクの補充はやむを得ないかな?

 

◆乳首が痛い、飲ませ方が分からない◆

24日に訪問し数時間の関わりで大丈夫かな?と心残りだったママに今日(27日)2回目の電話をしました。

とても明るい声になっていて「もう大丈夫だな」とひと安心。

1回目の25日には電話口で「自信がもてない」と泣いていました。

気持ちが落ち着くまで色々な話をして電話を切りましたが気になっていたので安堵しました。

今日の電話で

「赤ちゃんが自分から咥えるようになったんです。痛くもありません。

ミルクの追加も毎回だったのが2~3回に減りました」

「良っかたね〜(笑)。そこまでいけばしめたもんよ」

と言う私の言葉に

「しめたもんですか(笑) なんか落ち着きました」と嬉しそうでした。

前回、近くの助産師の探しかたをお教えしたところ、早速、昨日行ってマッサージして貰ったらオッパイは軟らかくなったそうです。

たった3日で母親としての自信が芽生えたのです。

「授乳が上手くいけば母親の精神的な安定をもたらす」という典型的な例です。

このことをある人が

「新生児期に母乳哺育がうまくいくかは母親としての自信を左右し育児不安やストレスの原因にもなりかねない。

育児の中で最初のハードルになっている母親が多い」

と書いてありましたがまさにその通りです。