授乳拒否

◆授乳拒否◆

「生後4ヶ月の赤ちゃんがあまり出ないおっぱいを嫌がっていましたが、いよいよ飲まなくなった。

でも、もう少しの間飲ませたいので、何とかできないか」というご相談が1ヶ月前に入りました。

手当てして少しはおっぱいが反応してきてますが、肝心な赤ちゃんが吸ってくれないためおっぱいの張り方にもうひとつ勢いがついてきません。

そこで、医師に相談して薬の助けをもらうことにしました。

同時にママはナーシングサプリメンターを試したいとチャレンジし今日で3日目、哺乳瓶を一度も使わないで、赤ちゃんの激しい抵抗にあってもママは頑張りました。

電話で結果を伺うまでは私もどきどきします。

「成功したりしなかったりで、時にはカップ授乳をしながら過ぎた」と報告を受けたときには「やった!!ここまで繰れば99%成功したも同じよ」

とママに伝えてもまだ信じられない様子です。

「どれだけ母乳を飲んでるのかスケールが欲しい」と自信のない様子。

無理ないかな。今まで出ない時間が長かったから・・・そこで次回は秤を持参で伺うことにしてます。

 

◆無垢な笑顔にママの涙◆

ほんの数分前までママを避けて視線をそらせていた赤ちゃんです。

例えばパパと機嫌よくお話をしている最中に、そこにママが顔を出すと視線をそらせ、そっぽをむいて目を合わせなかった赤ちゃんですが、この直前に正しい舌の使い方が出来て、上手に30分もオッパイが吸えたら・・・、なんと!!奇跡です。

「ジーっとママの目を見つめた直後、ママを見て満面の笑みを浮かべた」のです。

生まれてからママのオッパイを一度も上手に吸えなかった赤ちゃんで、今日で80日目でした。

ママは涙、涙で、私ももらい泣きしそうでした。

 

◆笑顔が戻った赤ちゃんのその後◆

一昨日、直接母乳が吸えた赤ちゃんの昨日の様子ですが、こんな変化がありました。

①おっぱい抱きをすると今までは大泣きしていましたが、泣かなくなりました。

②途中でおっぱいが外れてしまうと大泣きでしたが、泣かないで待てるようになり、ママが声かけをするのを待って吸い付けるようになりました。

③ママを目で追うようになり、目が合うと嬉しそうに笑うようになりました。

④ママに抱かれているとき、一昨日までは緊張していて 体をママから離そうと突っ張っていましたが、すっかり緊張がとれてクニャ~っと柔らかくなりました。

こんな一つ一つがママに幸せ感をもたらしてくれましたが、ママは悪戦苦闘していたことが、まだ記憶に新しいので『信じられない!!』と言っています。

でもあと1週間もすると実感が湧いてくると思います。

今回のことで嬉しかったことがもう一つあります。

まったく同じような体験をされた方が、快く励ましのお電話を掛けて下さったことです。

以前このブログでもご紹介した方で、ご自身は孤独感や絶望感にも負けずに本当に良く頑張られた方です。

このときのご主人のサポートが又素晴らしかったので、その話は又後日の楽しみに・・・・。

話を元に戻しますが、この先輩ママは、ご自身のそのときの様子や母乳育児の素晴らしさ等などをお話くださったようです。

電話中、近くにいた私の耳には、「そうなんです!」と言う言葉が何回も聞かれました。

共感してもらえたことで、ママは孤独感や絶望感が払拭でき、更に勇気付けられて大変喜ばれました。

そして、一番辛い夜を乗り切ることが出来たのもこの先輩ママのお陰でした。

「今度又同じような方がいらしたら、私も今回していただいたように協力しますね!!」とおっしゃって下さったのです。

「こうして輪が広がって一人でも多くのママが母乳育児ライフを楽しめるといいな」と嬉しく思いました。

 

◆卒業です!!◆

にっこり笑った赤ちゃんです。あれ以来ママを目で追うようになり目が合うとにっこりします。

もう2週間経ちました。ママもようやく「夢ではない!」と実感できたようです。

『今までは、赤ちゃんの世話をしているという感じでした。でも、今のこの一体感はなんとも言いようの無い不思議な感覚です。今までも可愛いと思いましたが、今はそれが何倍にも可愛いです!!』・・・と

最初に、授乳でつまずいた方は、乗り越えたとき、皆さんこの方と同じような感想をおっしゃいます。

それだけ母乳の威力は大きいということでしょうね。

 

◆嬉しいお知らせ!!◆

2~3日前にこんなお便りを頂きました。

「今日でミルクを足さずに6日目です。多分もう大丈夫だと思います。

娘は、授乳中暴れることもなくなりました。満足すると自分から乳首を離し機嫌もよくなります。

授乳時間も15分くらいです。ついに6ヶ月でここまできました。!!」

「ママの顔を見ない!」と決めていたお子さんが、生後2ヶ月目で初めて直接授乳ができるようになった後、ママとのコミュニケーションが復活した劇的ドラマのお子さんを覚えていますか?

2ヶ月前から、今度はおっぱいが足りなくなって授乳中唸ったり、体を動かして落ち着いて飲まなくなりました。

そこで、分泌の良くなるように、おっぱいの手当てを開始しました。

1ヶ月前にここまで来れば、後は徐々に量が増えるというところまでこぎつけましたが、その後上記の状態になるまでに更に1ヶ月を費やしたということです。

私もママと同じで、良くぞここまで辛抱して頑張ったと考え深いものがあります。

ママもお子さんも「よくがんばったね」と褒めてあげたいと思います。

そして、忘れてはならないのが、温かく見守ったご主人の存在です。初めてお伺いしたとき、本当に熱心に関わっていましたから・・・

「おっぱいは手入れをすれば必ず出るようになる」と確信した3人目の例です。

この方はお子さんが満足するまで2ヶ月掛かりましたが今までの方は手当てを開始して平均1ヶ月くらいです。

 

◆ママからのSOS◆

最近、何故か乳腺炎になる方が多いのですが、こんなメールをもらいました。

すぐに返信したのですが、同じように悩んでいる方もいらっしゃると思い、その一部をご紹介します。

『しばらくよい感じで授乳していたのですが、ここ2~3日おっぱいを嫌がるようになりました。

今日は2回5分しか飲まず、今は左をあげようとしたら、すぐにギャンギャン泣いてしまいました。

手で絞ると出るのですが、美味しくないのかもしれません。

私ができることは乳腺を通しておく位です。

授乳が幸せに感じず苦痛です。

なんでこんなに拒否されるのか、悲しいです。

どうしたら穏やかに授乳でき母乳育児を続けていけるのでしょうか?

母乳育児、くじけそうです!!』

23時近くのでしたが、ママのやるせない気持ちが伝わってきませんか?

 

◆そんな時には(私からの返信)◆

『それは辛いですね!。

乳腺がつまってきていてオッパイの出が少ないか、美味しくないかのどちらかを敏感に感じているのかも。

自分を責めないで!

ママを拒否している訳ではないのです。

上記の理由をママに伝えるのに、その方法は赤ちゃんによってサインの出し方が違います。

①乳首をくわえたまま頭をのけぞらせたり

②ウーウー唸りながら飲んだり

③または飲みながらママの胸を叩いたり

④:①②③と同時に手足をバタバタさせたり身をよじったり

など、とにかく以上のように落ち着いて飲まないのはどの赤ちゃんも同じです。

お子さんはたまたま乳首を離して泣くタイプなのです。

ーーー中略ーーー(取りあえずの手当ての方法を書きました)

一時期トラブルのあった方も、その後の母乳育児を楽しんでいますから、くじけないで!!』

翌日訪問してオッパイをみたところ両乳房全体にしこりが広がっていました。

もちろん手当してもう少しで改善します。

 

◆もうすぐ3ヶ月の男の子で~す◆

ようやくママのおっぱいが良く出るようになったので、今日はご機嫌です。

しばらくママのおっぱいが詰まって、出が悪かったため怒っておっぱいを飲みませんでした。

おっぱいは余るほど出ていたのですが、ミルクを足していたので飲み残しのために詰まってしまいました。

おまけに~もうミルクの方がいい~と母乳をしっかり飲まなくなってきていました。それを心配してご依頼があり、手当てを開始してから約1ヶ月です。

赤ちゃんの飲む量(需要)と母乳の分泌量(供給量)のバランスが合うまでは個人差があり1〜3ヶ月かかります。

ぴったり合うと普段はフワフワしていて赤ちゃんが飲み始めるとドンドン出て飲み終わると無駄に張らなくなります。

神様は母子の関係を上手く創ってくれていると思いませんか?

 

◆乳頭混乱◆

(乳頭混乱又は吸啜混乱=ママの乳首と人口乳首とは舌の使い方が違うので赤ちゃんがおっぱいを吸うときに混乱し、その結果どちらかを嫌がるようになる)

月曜日はAさん、今日はBさんのところに行ってきました。

お二人とも「母乳育児をしたいけれどおっぱいが出ないので子供が嫌がって吸わないため困っている」というご依頼でした。

Aさんは男の子、Bさんは女の子でお二人とも生後約1ヵ月半です。

ところがもうすでに二人のお子さんはどちらも乳頭混乱を起こしていました。

Aさんのお子さんはそっくり返って抵抗し頑として咥えないのです。

ほとんどのお子さんは抵抗していても空腹になると咥えることが多いのですが、それも通用しませんでした。

この日は大人が敗北です。

Bさんのお子さんは大人しくてはっきりした拒絶はしませんでした。

が、乳首は咥えても吸い方がわからないのかチュパチュパするだけで効率よく飲んでいません。

そこで二人とも哺乳瓶はいっさい使わないことにし、ナーシングサプリメンター(NS)を使用することにしました。

まずAさんは日を置いて改めて用意周到に準備してから再チャレンジしたら大成功。

ママは生まれて初めてしっかり吸い付いたので目を真っ赤にして感激していました。

「これが夢だった!」・・・と。

Bさんはもともと咥えることには抵抗していませんが、遊びのみの癖がついて浅い咥え方です。

どちらかというとこちらの方がやっかいです。

抱き方や咥えるタイミングを何度も直しながら徐々にしっかりした飲み方に変わっていくのを見守りました。

という経過があってNSをスタートしてから、今日で約1ヶ月余です。

二人とももうすっかり母乳っ子になりました。なぜって?

以前のように乳房に近ずけると顔を左右に振ったり、そっくり返って泣いたり、または咥えては放し、を繰り返したりなどの抵抗する様子は全くありません。

それどころかスッと何も抵抗なしに乳首に吸い付きますから。

でもこのような自然体になるには3日間あれば十分です。

この二人のお子さんもそうでした。哺乳瓶からママの乳首に気持ちが100%シフトした瞬間です。

後は毎日繰り返していけば直接母乳は定着します。

逆に言えば3日あれば赤ちゃんはこのおっぱいは吸わない(咥えない)と決めることもできるということですね。

赤ちゃんは賢いですよ~(笑)

乳汁の分泌も少しずつ増えて、ミルクの量が減ってきています。

もちろんママたちが分泌促進のための努力をしているからですが・・・。

 

◆ママの おっぱいいや!!(直接母乳拒否)◆

2ヶ月半の男児を持つママからです。

「3月4日に初めて母乳を拒否されショックで泣いてしまった。

以後寝ぼけ気味みのときに吸い付くことはあったが、今は母乳拒否がひどくなりほとんどミルクになっている。

乳房マッサージに週一で通っていたがあまり出ていない。

拒否の相談をしていたが「赤ちゃんの性格だから…、生まれてすぐに哺乳瓶を与えたからだと言われ、母乳が飲めなくなったのは仕方がない、次の子に賭けたら?」と言われどうしてよいのかと悩んでいる。

やはりもう直接母乳は無理なのか、可能性があるならナーシングサプリメンター(以後NSと省略)でやってみたい」

との依頼でした。

行ってきました。

結論から言いますと、99%成功し飲めるようになりました。

残りの1%は赤ちゃんの気分です。

と言うのも、どんな気難しい赤ちゃんでも、「飲んでみようかな?」という気になれば簡単に呆気なく吸いつくからです。

このお子さんはまだトラウマがあるのか「飲んでみようかな」という気持ちにむらがあります。

と言うことであと1%なのです。

一般的に直接母乳の拒否の原因は、飲める条件が整っていないのに、無理矢理「飲みなさい!と強制し、それを何度も繰り返し行った結果です。

(条件とは①乳汁分泌が充分ある

②乳首が適当な長さである、ことです。

でも乳首の問題は乳輪を柔らかくする事で時間が解決します)

このお子さんの原因は①で最初の一口目が赤ちゃんの気に入る量に満たないことでした。(飲み込む力のある赤ちゃんは特にそういう傾向が強く、この赤ちゃんも一口目の乳汁が自分の気に入る量が出ないため嫌だったのです)

これはママの責任ではありません。

支援する医療者側である私たちがそれをわかって対応しなければならないのです。

訪問して最初にすることは、原因を探り当て、そのあとどんな作戦がよいのかを考え決めます。

まずはママの乳汁分泌状態、乳房のほぐれ具合、乳首の長さの確認、赤ちゃんの哺乳瓶での飲み方、その時の舌の位置と使い方、赤ちゃんの性格、母乳拒否の度合い等などを色々な観点から観察し、どんな作戦がよいのかを見極めます。

これが一番難しいのです。

成功するかどうかの分かれ道で重要なポイントです。

しかし、これでいこうと決めてやってみても上手くいかないことがあります。

その場合は即座に作戦変更です。

この赤ちゃんにも「空腹作戦」がよいと決め、NSを使い授乳を試みましたが、あまりにお腹が空いて吸い付くどころか余裕がなくなり怒って大泣きしてしまいました。

赤ちゃんの性格を見誤りました。

作戦変更です。

《穏やかと思いましたが怒ったら怖いタイプでした(笑)》

そこで先にミルクを少しあげて落ち着いたところで「もう一度してみたい」というママの発案で試みたところ、今度は少しためらっていましたが、ママが声をかけ続けて促していたら(これがとても大切です)ややあって乳首を咥えてくれました。

あとは簡単です。

もともと体力はありますから、残りをあっという間に、しかも上手に飲んでしまいました。

約2時間半後、同じように50ccほどミルクを飲ませたあとNSで二度目の直接母乳が成功です。

ママにも少し笑顔が出ました。

ママはとても器用で飲み込みが早く優秀です。

その後、時間の経過と共に母子の息が合うようになり赤ちゃんの機嫌の良いときには哺乳瓶授乳をせず、いきなりNS授乳をしてるとか。

初日は4回成功(内2回は私と一緒)し、今日は3日目(昨日)ですが、8回授乳中6回成功と報告がありました。

赤ちゃんもおっぱいを近づけると、直ぐに咥えるようになったとか。

そうなればもう授乳拒否に戻ることはありません。

ママの理想はおっぱいを飲んだあと赤ちゃんが満足してニコッと笑顔になるのを見ることだそうです。

そうなる日はすぐそこまできています。

今はNSのチューブが上手く入りさえすればあとはスムーズに授乳できるようなので、これで母乳育児は大丈夫。いずれママの願いは叶えられると確信しています。

 

 

◆授乳のはなし(授乳拒否や乳頭混乱の要因)◆

ここのところお二人「授乳が上手くいかない」とのご依頼が続きました。

原因は主に

①抱きかた と

②お乳の含ませかた ですが、

もうひとつ侮れないのが、

③赤ちゃんの舌が下唇の上近くまで出ないため乳首を舌の上にのせられなくてすべってお乳が飲めないこと です。

現代のようにミルクがなく、太古の昔から子を産みお乳で育てるのが当たり前の頃には人口乳首による弊害はなかったと思うのですが、今は両方の乳首の違いに赤ちゃんが混乱することがあります「これを乳頭混乱(にゅうとうこんらん)と言います」

原因③はまさにその乳頭混乱です。

人口乳首でミルクを飲ませるとき赤ちゃんが口を充分に開けなくても乳首をいれてあげてしまうので自分から舌で乳首を迎えに来る必要がなくなります。

その刷り込みが何度も続くと、お母さんの乳首の含みかたが分からなくなってしまいます。

また、人口乳首とお母さんの乳首とでは舌の動かしかたがまるで違います。

その結果赤ちゃんによっては飲むのに楽な人口乳首、つまりミルクに傾き母乳を飲まなくなってしまうことがあります。

お二人は③が軽度に有りましたが、まだ生後1〜2週間だったので1回の訪問で①②③を指導、実践してもらい、ぎこちないながらもなんとか習得できました。

本来は入院中に習得できればいいのですが、様々な理由で未習得のまま上手くいかなくて母乳を諦めざるを得なかったと聞くことがあります。

「ほんの少し指導するだけで上手くいったのになぁ」とそんな話を聞くたびに気の毒に思います。